2020/09/11 13:59

デザイン、色、柄、素材、着心地・・・。
何を一番優先にするかは、一人一人の価値観や目的によって違うと思います。
そして、洋服そのものよりも、まずその洋服を手にするために支払う「金額」も大事なポイントですね。

私の場合、まず最初にチェックすることは、その洋服の「素材」です。

どんなに好きなデザインでも、使われている素材が化学繊維な場合、まず私の選択肢からは外れます。
基本的に肌に直接触れる素材は、コットン、麻、絹、ウール を選ぶようにしています。
靴や鞄、帽子なども、ほとんどが天然素材のものか、本革製品を使っています。
(*本革使用に関しては、非難される方もいらっしゃると思いますが、私は職人の手によって作られた
いいものいくつかだけを、長い期間、ぼろぼろになるまで大事に使います。)

そのあとに、デザイン、色、柄、と条件を絞っていきます。
もちろん、私の予算が許す範囲内です・・・。

もとから、カラフルなもの、国内外の伝統工芸品が好きな私、テキスタイルにも目がありません。
今まで旅、生活のために訪れた国の中で、私が興奮冷めやらぬくらいテキスタイルの宝庫だったのは、
東南アジア、アフリカ、東欧です。

その中でも、色、柄、素材の質(願わくばオーガニック、草木染)、値段などの、生地に対する私の
要求に応えて
くれる国が、「インド」です。


幸運にも、「インドで働きながら生活をする」というチャンスを得て、コロナウィルス感染問題
が深刻になるまでの4年間、インドに滞在していました。

それまでは、16年の間に、南インドをメインに旅行者としてインドを訪れていました。
アーユルベーダに基づいた生活を長年送っているので、私にとってのインドは、「南インド」で
「アーユルベーダと美味しい南インド料理」しかない、といっても過言ではないくらい、あまり
インドのテキスタイル・ファブリック事情には精通していませんでした。

そんな南インドしか知らない私に舞い込んできた話は、大都市ムンバイのある、「マハラシュトラ州」
の”プネ” という街での仕事でした。 (プネについては、また改めて書こうと思います。)

そこで広げた現地での交友関係や、インド服を段着るようになったことも影響し、インドでは
今でも日常的な、「テーラーに行って服を仕立てる」、ということを始めました。

そこからは、どんどんインドのテキスタイルの魅力に取りつかれ、インドの生地について勉強
を始めました。

一言にコットン、シルクと言えども、作られた地域や、製造・織り方、薄さ、柄の違いによって
多くの種類に分けられ、特にそれぞれの特徴がサリーに反映されるため、インドの女性たちは、
サリーを一目見て、「ああ、それはバラナシ・シルクね。」とか、「ケララに行ったらケララ・
コットンのサリーを買ってきて!」と、生地の識別ができる目と知識を持ち、そんなふうに普段
からサリーやクルタの素材の話を良くします。


プネはムンバイ出身者等の裕福な人が多く住む、安全で適度な都会なので、インド国外問わず、
幅広いジャンルの交友関係が広がりました。中でも、アーティストやミュージシャン、物書き、
オーガニック関係の仕事を営む人など、クリエイティブな人たちと友達になりました。

そのおかげで、今まで南インドとアユルベーダのことしか知らなかった私が、新たなインドの
魅力を発掘できたのです。生地の素材、各州による製法の違いや特徴、柄の意味の他にも、
サリーの着方、装飾品、各地の工芸品や伝統料理、日常生活に息づく伝統、マナー、神事等、
多くのことを見て、経験し、学び、そして共有しました。

その中でも、一番私の心をつかんだのが、この "erisha" を始めるきっかけになった 
”カディ” です。

インドの誇り、”ガンジー” のシンボルともいえる ”カディ” の魅力と素晴らしさを、少し
ずつ日本の皆様にも知っていただき、実際にご愛用していただければ、と願っています。