2020/11/04 22:29

4年ぶりに、日本での誕生日を迎えました。

かといって、取り立てて何かをしたいわけでも、何処かへ行きたいわけでも無く、
特にこれといって欲しいものもなかったのですが、あるものを自分のために買う
ことにしました。

調理器具やカトラリーも金属製品は最小限しかなく、家にプラスチックがほとんど
ないくらい私の「木のもの好き」は周知のことで、自分で収集するのはもちろんですが、
ありがたいことに、多くの友人から素敵な木製品をもらうことが多い私。
インドに渡航する4年前の誕生日にも、気心知れた友人たちから素敵な「木のもの」を
いくつももらいました。

その中に、一生忘れられないものがあります。

「もう1つは、郁子に彼氏ができたら来年の誕生日にあげるね!」
と、16年前にマルタ共和国に留学していた時以来の友人が、とても美しい竹製のワイン用の
ベッセルを1つプレゼントしてくれたのです。
 
日本人の美意識と職人技から作り出されたそのベッセルは、見ているだけで満足してしまう
ような、まさに美術品でした。
1度か2度、1人でその美しさを堪能しながらワインを飲んだくらいで、インドに行っている間は、
大事に日本の実家で保管していました。

その友達の訃報を知らされたのは去年。
プネの騒がしい市場の中で、頭が呆然となり、立ち竦んで泣きました。
10年以上癌と戦い、最後まで気丈であり続けた彼女の人生でした。

コロナ騒ぎの中、緊急帰国をしたのを機会に、実家の押し入れにしまい込んでいた、私の宝物
が詰まった段ボール箱を開け、旅先で見つけた各国の美しい工芸品の状態のチェックや、木製品
のケアをしているときに、しまい込んでいたそのベッセルの包みを開けました。

変わらない美しい佇まいと、亡き友人のことを思い、しばらく時が止まりました。

苦しい時にも最後にも一緒にいてあげられなかった後悔と、「この人だよ!」と、胸を張って
紹介できる相手にも出会えていない自分への悲しさで、今でも涙が溢れてくるのですが、今年
の自分の誕生日に、友達が果たせなかった約束を自ら果たすことにしました。


もう1脚、と思っていたのに、ついセットで買ってしまいました・・・。
木の色が違う2脚なので、一つを私の未来のパートナーに、もう1つはゲストに?
とりあえず用意周到です!


ちょうど誕生日に届きました。どちらも美しい木目と色。

せっかくなので、そのベッセルで乾杯、といきたいところでしたが、誕生日の夜は
古い付き合いの親友3人が集まってくれるというので、ずっと気になっていた
三軒茶屋にあるモロッコ料理屋さんに食事に行きました。



料理はどれも美味しく、食器も素敵な、こじんまりとしたセンスの良いお店でした。

思えば、モロッコに行ったのも、マルタに留学中の時。
なんだか色々な思い出や出来事がリンクしました。

大好きな友達と楽しい時を過ごすことができるのは、何よりものギフトであることを
改めて感じた誕生日でした。


モロッコワイン、美味しかったです!
近い将来に未来のパートナーと、買った竹製のベッセルで乾杯したいです♪